手術部

〈はじめに〉

手術部には臨床工学技士が10名派遣されており、ICU・CCUでの補助循環施行症例の管理も
含めて業務を行っています。

 

〈手術室業務〉

当院の手術室には、人工心肺装置や自己血回収装置、麻酔器、手術支援ロボット、内視鏡システム、手術用顕微鏡、レーザー装置、超音波吸引装置など約750台の多種多様な医療機器があります。
私たちは、患者さんの入室前にその手術で使用する機器の準備や始業点検を行い、手術中は操作介助を行うと共にトラブルに対して速やかに対応できる体制をとっています。
電気メスや除細動器、麻酔器、生体監視モニタ、下肢空気圧迫装置などの汎用機器に対しては定期点検を行っており、部品交換や修理も出来る範囲で行っています。
現在手術室数が23室あり、手術室管理の医療機器は多岐に渡りますが、患者さんが変わらず安全な環境で手術を受けられる様に、医療機器の操作や管理は計画的に、時に状況に応じて臨機応変に対応する事としています。

 
 

〈体外循環業務〉
-人工心肺-

当院の心臓外科は、成人心疾患・大動脈疾患・先天性心疾患・補助人工心臓(重症心不全)の4つのカテゴリに分かれており、虚血性心疾患や心臓弁膜症、大動脈瘤、大動脈解離、各種先天性心疾患、拡張型心筋症などで機械的な補助を必要とする症例など、様々な症例に対する手術が行われています。

これらの手術に必要な人工心肺の操作は、現在14名の臨床工学技士が担当しており、1症例に対し2名を配置しています。

毎年にはおよそ300例の心臓・大血管手術が行われ、その内230症例ほどで人工心肺が使用されています。
私たちは安全に体外循環を施行することを念頭に置き、回路は出来る限りシンプルな形にし、チェックリストによる回路や装置の確認作業を欠かさず行っています。
そして、現状維持を良しとせず、常に安全かつシンプルで極力患者さんの負担にならないような体外循環法やシステムを目指し改良を重ねています。

そして、様々な人工心肺を使用する手術症例に対応していくため、安全に人工心肺を操作するためのスキルの維持、若手の修練や育成に努めています。
 

      
 

-補助人工心臓を装着した患者さんのサポートと心臓移植-

当院では、拡張型心筋症や虚血性心疾患などで心機能が著しく低下した重症心不全患者さんに対して補助人工心臓による治療を行っています。また、当院が心臓移植実施施設であることから、これらの患者さんの多くは心臓移植を目的に補助人工心臓を装着し待機しています。
私たちは、補助人工心臓装置の日常点検や定期的な部品交換、医療スタッフや患者さんの教育などを行い、補助人工心臓装着患者さんの安全面を考えるだけでなく、少しでも患者さんのQOLが向上する事を目標にサポートを行っています。

当院で心臓移植が実施される場合は、移植時の人工心肺装置の操作はもちろんのこと、ドナー臓器摘出にも同行するなど積極的に業務を行っています。
 

-肺移植-

当院では2015年から肺移植を行っています。2022年には33例の肺移植を行いました。
肺移植中に循環・呼吸補助が必要な患者さんに対してはECMOを用いてサポートを行っています。

 

-補助循環-

当院では補助人工心臓だけではなくIABPやECMO、IMPELLAを用いて循環・呼吸不全の患者に対して積極的な治療を行っています。
補助循環の管理には他職種との連携が必要不可欠であるので、常にベットサイドやカンファレンス等で現在の状況を確認しながら適切な管理を行うように努めています。
 
2022/7~2023/8 までに70例のECMO施行症例をICU、CCU、PICUで管理し、
2022/6~2023/8 までに24例のIMPELLA施行症例に携わってきました。